前回ブログで書いた中国人旅行者が感じるという「素晴らしい日本」を私も自ら体験しました
先週金曜日午後1時頃、チャリンコで買い物の途中に財布を落としました。銀行のカード、クレジットカード、国民健康保険証などなどと週末用に引き出したばかりの6万円余の現金が入っていたのですが名前も名乗らぬ善良な方に拾われて警察に届けられていました。現金も無事でそのままでした。
普段、全般的に「世知辛い世の中になったな」と感じている私にとって「人の善意」が感じられた出来事でした。
米中貿易摩擦の長期深刻化予想、日本景気の下方判断など、株式市場にとってポジティブな要素が全くない、これは直近の市場動向で明白になっていますね。
我々退職世代は冷ややかに評論的に、
“かつて「製品」で勝負して勝ってきた日本が「部品屋」に転落している証なんだよね。中国と米国の、言い換えれば習近平とトランプの左と右の振り子の揺れ幅に一喜一憂してるようじゃね。”
って苦笑するだけで済んでいます。
しかし現役のIR担当者としては、あくまで「市場」の動きだと割り切るべきです。
相場下落によって自社株が下がる時ほど、自社の企業価値=フェアバリューに拘って経営陣と共に、時には代弁者となって投資家を説得、納得させるチャンスだと考える
投資家を“説得すること”、そして“納得してもらうこと”こそ、IRの仕事だと私は考えます。
今から10年以上前になります。郵政民営化を巡る選挙後に市場が暴騰し、株価が倍近く上がった大手電機の社長の米国IRでの忘れられない投資家との質疑があります
投資家
「社長、日本株式市場は好調で全体に株価が上がっていますね、御社も株価が上がっていますが、経営としては御社の何が評価されて上がっているとお考えですか?」
社長
「、、、、、、、」(答えられず横にいた同行のCFOを睨む)
暫く間があって
CFO
「我が社では社長のご指示全社でインベントリー(在庫管理)を従来の半年から3か月ごとの管理に切り替えました。この事が投資家にも支持された、と考えます」
投資家
「素晴らしい。こういう返事を社長から期待していました。株式市場がどうあれ自社の何が評価され、なにが評価されていないか。これが現在の株価=企業価値を示していると、経営者は常に考えるべきです。」
このミーティングの直後、CFOが私に言いました。
「苦しまぎれでした。社長にお出した想定質疑集には入っていなかったし。でも私のサラリーマン人生の中でも最大の瞬間を与えて頂きました。今後投資家とお会いする際に最も留意すべき視点が見つかりました」、と感極まっていました(爆)。
残念ながら通訳を介してのミーティングでしたが
「投資家の問い」に対して即座にその意図を理解し納得させるコミュニケーションを完成させる。
こういう場面にはなかなか出会えるものではありません。
IR担当者としてはロジ中心の「スケジュールありき」の考え方ではなく、事前に投資家の自社に対する評価を知る所から初めてみませんか。そしてダイレクトにコンタクトし
経営陣に代わって自社株のフェアバリューを“説得”し、“納得”させた上で経営陣にお会いいただく
これが弊社の考える海外IRのあり方だとお考えいただければ幸甚に存じます。
それでは