ESG投資最新動向:ESG投資を謳う資金のインチキが常態化。投資家は距離を置く動き。日本企業の取るべき対策とは?

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「多くの主要機関投資家の投資先は気候変動の立場からは逸脱していることが判明」
(出所:Missed Pitch)
Many leading asset managers’ investment practices deviate from climate positioning.
Source: “Missed Pitch” analysis report, Carbon Tracker Initiative

ESG投資と一言で言っても、日本と世界ではその位置づけがずいぶん乖離しています。
以下、1)ESG投資のこれまでの動き、2)現在の状況、3)日本の上場企業のCEO、IROが考えるべき重要論点と対策について整理しました。

1) ESG投資これまでの動き:ESG投資の欺瞞姓に対する告発が相次ぎその公正性、透明性が問題になりました。

2021年にDWS(ドイツ銀行グループ)とブラックロックのESGサステイナビリティー投資の前責任者が相次いで内部告発を行いました。このあたりから欧米ではESG投資の信憑性に対する疑義・反発が強くなっていきました。内部告発の内容からも判るように。サステイナブルであるという「偽りのラベル」を貼ったファンド(資金)を売る金融機関が次々と顧客(アセットオーナー)をミスリードして来た経緯があります。
2021年9月24日の投稿:DWS(ドイツ銀行グループ)の元ESG運用責任者による内部告発について。
2021年8月27日の投稿:ブラックロックのサステナブル投資の前責任者による内部告発について。

2)2023年5月現在の状況

サステイナビリティー投資への疑義がアセットオーナーの間で持ち上がってから約2年。現在のESG投資業界を表現するならば「混乱」と言って良いと思います。5月4日発行されたCarbon Tracker Initiatives「Missed Pitch」の分析レポートによると、35の世界のトップ金融機関から構成される、ネット・ゼロ・アセットマネージャーイニシアチブ(NZAM)のうち、25社が本来謳っているはずの気候対策から「逸脱した企業」へ投資していることを明らかにしています。パリ協定の目標とは合致していないと評価された石油・ガス企業の15社合わせて45億ドル以上の投資を保有していると指摘します。添付した画像は、運用資産総額に占める石油・ガス関連企業への投資額ベースのトップ35ランキングです。NZAMメンバーはYesでハイライトされています。これを見てどう思いますか?

3)日本の上場企業のCEO、IROが考えるべき重要論点を以下のように整理しました。

・ESG格付けの意義・信頼性。グリーンウォッシュが横行するなか、アセットオーナー、マネージャーは銘柄選択に苦心しています。同時に「サステイナビリティー」と謳う投資からは距離を置くようになっています。
・今後予想される、ESG格付、サステイナビリティー投資の形骸化の加速
・日本企業が取るべき対策は、①経営者が自ら投資家1人1人とつながり対話すること、②「自社独自」のレーティングで「変化率・改善率」を時系列で開示することです。これは既存のESGデータへの検証として機能するからです。
大石)

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